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Nacoruru♡のレビュー

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プロフィール / レビュー数:25 / 2ページ目

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火車 (新潮文庫)

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カテゴリ/発売日
本/1998-01-30
感想 98点
推理小説なのでストーリーに関することは書けませんが、この本は推理小説の中でも新しいジャンルを開拓したのではないでしょうか。この本が扱うテーマは、カード破産という我々にとっては人ごとでない問題です。私はこの本を最初に手に取ったとき、松本清張のような社会問題を取り上げたミステリーなのかな、と単純に思っていましたが、毛色は全く異なっていました。
一言で言えばミステリーであるにも関わらず、犯人がわかったときの満足感やアリバイが崩されたときの驚き、自分の予想と本を照らし合わせる、といったミステリーなら必ず読者が行う基本動作がほとんど必要ないことです。通常のミステリーならば読後感として「ぞっとする」「トリックに驚き」「真犯人に驚き」といった感覚を持つでしょう。しかしこの本は読後何とも言えない悲しさに包まれます。ミステリーを読んでこのような感覚を持つとは。正直この本の奥の深さにはびっくりしています。フィクションとは思えない作品です。お薦めです。(2014-11-19)
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模倣犯1 (新潮文庫)

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カテゴリ/発売日
本/2005-11-26
感想 98点
決してボリュームの話ではありません。それどころか、平易な文章、“今”の言葉で丹念に書かれた物語を追っていると、長さなど全く感じなくなります。
私は、第一巻を半分ほど読んだところで『あぁ、こんな面白い小説があと四巻余りしか楽しめないのか…』と残念に思ったほどです。

連続誘拐殺人事件という陰惨な出来事に巻き込まれてしまった人たち、自らかかわろうとするジャーナリスト、そして加害者。
性別も年代も立場も異なるさまざまな登場人物の心の中を、時に視点を変え、時に時計を戻し、宮部みゆきの文章は丁寧に綴ってゆきます。

非行に走って両親の気持ちを独り占めしてしまった妹に反感を持つ姉が当の妹の被害の証拠を見た時の悲劇も、被害者の遺族の弱みにつけ込む有象無象の動きも、職場ではこわもての刑事が家庭では女子大生の娘にいいようにあしらわれるほほえましい描写も、それぞれ決して主役とは呼べない登場人物の記述の一つ一つがとてもリアルで、それ故に小説全体のストーリーに引き込まれてしまいます。

そして『模倣犯』というタイトルの意味が明らかになるクライマックスの迫力。この部分は二度も三度も読み返しましたが、いつも鼓動が速まる気がします。

是非、ご一読をお勧めします。

最後に蛇足ですが、文庫カバー全巻の裏表紙に書かれているあらすじと、どうしても目が行ってしまう帯のコメントは決して読まないようにして、本屋さんでブックカバーをつけてもらってください。
(2014-11-19)
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存在と時間〈上〉 (ちくま学芸文庫)

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カテゴリ/発売日
本/1994-06-01
感想 98点
一度なりとも『存在と時間』を原典でひもといたことのあるものは、細谷氏のこの訳業がいかに細心の気配りと苦心をもってなされているかを随所にうかがうことになろう。たしかにわが国ではこれまで幾種もの翻訳が試みられて来てはいる。だがそれらは、多く原文のドイツ語をいかに忠実に日本語に直訳するかに努力が注がれた。もちろんそれ自体は尊敬すべき誠実な態度である。だが、原文と突合せることを理解の条件とすることが、真の「翻訳」といえるだろうか。筆者には正直いって、いまこのそれ自体<哲学的>な問題に答えを示す準備はない。しかしひとつ次のことはたしかであろう。すなわち細谷氏のこの仕事は、もしあるとするなら唯一可能な、日本語のみによって『存在と時間』を理解する道を開いた、ということである。筆者には、今後こうした試みが、細谷氏のこの仕事で果たした水準で現れるのを創造すらできない。その意味でこの訳業は不滅であり、それが文庫本として安価に入手できる現在、ハイデガー哲学に関心をもつ全ての者にとっての幸福を祝う能天気に恥じるつもりはない。 (2014-11-19)
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紙の月 (ハルキ文庫)

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カテゴリ/定価/発売日
本/637円/2014-09-13
感想 98点
「八日目の蝉」と同じ様な息苦しく重厚な雰囲気を全編に漂わせておきながら、別の意匠を巧みに織り込んだ作品。特に、前半と後半(特に終盤)とで受ける印象が全く異なる。夫からは相手にされず、子供も出来ない銀行の契約社員であるヒロインが若い男に貢いで数千万の横領事件を起こすという設定はありきたり。倹約家及び買物依存症の2人のヒロインの友人を登場させ、ヒロインと対比させるという手法もありきたり。作者の筆力で一応は読ませるものの、前半は本作の意匠が全く読めず、凡作なのではないかと思った。特に、若い男は男性としての魅力が皆無であり、ヒロインが何故この男のために横領にまで走ってしまうのか、説得力に欠けると感じた。また、2人の友人の描写もさしたる効果が上がっていない様に思えた。

しかし、終盤、この若い男の心の底からの"告白"の辺りから、作者の意匠が分かってくると共に、2人の友人の描写も含めた全体構成の妙を感じた。一見、「フトしたキッカケ」で少額の横領から手を染め、それが段々エスカレートして.....という風に見えるが、それは違うと作者は言っている。子供の頃からの経済面(本作では"お金"が持つ意味(特にその魔性)を重視している)を含めた生活環境、躾、それらに基づいた自身の考え方の"積み重ね"で人間が出来上がっており、ヒロインの犯罪はある意味"必然"だったと言うものである。これは、「フトしたキッカケ」より遥かに怖い。「当り前」に対する考え方あるいはその対象が、人によってマチマチである事、金(犯罪)によって得られる自由・満足感は、それと同程度の束縛・渇望感をもたらす事等も本作全体で主張している事である。作者の一段の成熟を示す秀作と言って良いのではないか。(2014-11-19)
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白銀ジャック (実業之日本社文庫)

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カテゴリ/発売日
本/2010-10-15
感想 98点
チープなプロット、余りにもご都合主義で現実味のない展開、どう考えても苦しい説明など言いたいことは多々あります。

しかし、なにより登場人物の心情と行動に共感出来ない部分が多すぎました。
ルールや周りの迷惑を考えず、いくら注意を受けても自分がやりたい行動を正当化して好き放題やる、
所謂DQNと呼ばれるタイプの人間だらけです。
それが悪者として書かれていればまだ良いのですが、
どうも作者的にはそれをクールで人間味のある行動として表現したいらしく(そもそも主人公とヒロインが両方そんな感じ)、
読んでいて全く感情移入できませんでした。
話を手っ取り早く進めたかったんでしょうが、これでは余りにも強引すぎます。

部長とか課長とかにしても無駄に何人も出てくるだけで個性もはっきりせず、
誰がどんな性格なでどんな立場なのか最後まで区別がつきませんでした。

売れてる作家さんですので構想を練っている時間がなかったのかもしれませんが、
こんな本出さないほうがましだったのでは?と思ってしまいます。
昔は本当に好きな作品をいっぱい書いてくださった人だけに、本当に残念でした。 (2014-11-17)
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重力と恩寵―シモーヌ・ヴェイユ『カイエ』抄 (ちくま学芸文庫)

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カテゴリ/発売日
本/1995-12-01
感想 98点
シモーヌ・ヴェイユの備忘録から文章を抜粋した本。断片的で謎めいた言葉の数々は、私にとっていまだに完全な理解にはほど遠いが、青年時代この書によって、知的神秘主義がありうること、神秘こそリアルであること、神秘へのコミットメントは決して現実逃避ではないこと、等々を直観した。

ヴェイユの全存在をかけた否定神学的身振りは、時に極端すぎるのだが、人を真理から遠ざけるイデオロギーや観念に対する激越な批判は、他を圧倒するほど鋭利である。特に「清めるものとしての無神論」というアイデアに私は魅了された。神に真に出会うためには、「神」を否定しなければならない。それこそがリアルな神秘への道だ。(2014-11-16)
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天然大理石彫刻 海神大噴水

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カテゴリ
Home Improvement
感想 98点
チョコフォンジュが大好き、けれど市販のものでは大きいものにチョコをたっぷりつけることができない…そんな貴方にオススメです。

私は今ではこちらのおかげでチョコフォンジュを美味しく、ダイナミックに頂いております。

ただ、大量のチョコがいることが盲点でしたので焦って明治の板チョコを大量にAmazonにて箱買いしたせいで家の中ぎ板チョコの入ったダンボールだらけになるのでお気をつけ下さい。それだけ気をつければこれ以上にチョコフォンジュに向いたものはないと言っても過言ではありません。

チョコフォンジュを愛してやまない貴方に是非。(2014-11-11)
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.hack//感染拡大 Vol.1

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カテゴリ/プラットフォーム/定価/発売日
ゲーム/PlayStation2/6264円/2002-06-20
感想 98点
多数のメディアで大規模な展開が行われている『.hack』。
テレビアニメ、OVA、テレビゲーム等・・・その中でシリーズとして4作品の製作が決定している、テレビゲームシリーズの第一作にあたる『.hack//感染拡大 Vol.1』。

ゲームとしての基礎がよく出来ていると同時に、未だかつてない新しいテイストが多く含まれています。
オンラインゲームの世界、いわば“架空世界”とリアルの世界=“現実世界”の2世界で展開される物語は斬新です。
音楽、シナリオ、グラフィックのクオリティの高さと5800円という価格は、付属のOVAを考えても十分お買い得でしょう。

欠点は操作性が思ったより良好ではないことに加え、カメラアングルにやや癖がある点。
また、戦闘時のNPCプレイヤーの台詞の種類が極めて少ないこと。
聴いていて『また同じことを・・・』と思ってしまうことが多く、少々不快でした。
上記台詞の影響もありますが、人によっては戦闘を『作業』のように感じてしまう可能性もあるかもしれません。

とはいえ独特の世界観・雰囲気はこの作品でしか味わえません。
“新しさ”のあるゲームに出会いを求めている人や、
いわゆる“セカイ系”作品のファンにも強くオススメの作品です。 (2014-11-09)
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クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)

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カテゴリ/発売日
本/2008-04-15
感想 98点
「物語シリーズ」で有名な西尾維新さんのデビュー作、そして「戯言シリーズ」の始まりともなった本です。
「戯言シリーズ」は他のライトノベルと比べるとかなり独特で、主人公であり語り部でもある「ぼく」の独特の言い回し・言葉遊びや、個性的で強烈なキャラクターたちがいる世界観に引き込まれた方も少なくないはず。
引き込まれる人、そうでない人の差はかなり激しいですが、一度ハマってしまえばかなり面白く、そして刺激的に感じるはず。(2014-08-18)
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魔法少女かずみ☆マギカ ~The innocent malice~ (1) (まんがタイムKRコミックス フォワードシリーズ)

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カテゴリ/発売日
本/2011-05-12
感想 98点
魔法少女まどか☆マギカの外伝的なお話、それが魔法少女かずみ☆マギカ。
「まどか」たちが住む見滝原とは違うどこかの町に住む魔法少女、「かずみ」を軸としたストーリーで、記憶喪失である「かずみ」と、記憶があった頃の仲間たちとが織りなす物語です。
世界観や時代は「まどか」と全く同じですが、「かずみ」オリジナルの設定などがあり、最初は戸惑うかもしれません。
が、「まどか」のようにグロテスクで残虐的なストーリーがあなたを楽しませてくれるはず。(2014-08-18)
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