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本
悲嘆の門(上)
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カテゴリ/発売日
本/2015-01-15
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ネタバレあり感想
Nacoruru♡
98 (2015-03-07)
前作の「英雄の書」の続編ですが、前作と対となる存在の本です。ですので、前作を読まないと理解しにくいというものではありませんし、前作の主人公の次なる活躍を描いたものではありません(ユーリの成長が見えますが、それを楽しみにして読むものではありません)。
今回のテーマは、「言葉」。
あなたが発する言葉は、自分が気が付かないところで蓄積し、増殖して、自分に振り戻ってきます。虚勢を張る言葉ばかり発している人は、それに等しい闇を抱えている。同情が過ぎる言葉を発している人には、その根源となる原罪が隠れている。言葉が、その人の精神を形作り、支配していくのです。無自覚的に。
物語と言葉。物語を語るために言葉を必要とし、言葉があるから物語は伝播し拡大生産される。どちらが先か、は鶏と卵のような関係でどちらとも対となる存在である。本書では、前作でいうところの「英雄」に陥ってしまう側の人間として、主人公が登場します。「英雄」に陥ってしまう人は、あまりに一面的にしか物事を見ることができず、自分の物語を紡ぐのではなく、他人の物語をなぞろうとしてしまうのだ。その主人公の危うい若さを指摘する、老練な元刑事(この人も足が悪い)も絡み合い、青臭い正義と人生の様々なあやを見てきた深くやりきれない洞察との対比も見事です。
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2017-08-20 00:15:21